家族信託は、認知症による資産凍結に備えて「信頼できる家族に財産管理を託しておく」制度です。
一般的には、親が「委託者」、子が「受託者」となり、受託者は「受益者」のために財産の管理・運用を行います。
実務では「委託者=受益者(親)」として設計するケースがほとんどです。
家族信託をすると信託財産の「所有権」は、委託者(親)から受託者(子)へ移転します。
このように、家族信託では、財産を所有し管理する権利(所有権)と、その財産から利益を受ける権利(受益権)が分かれるという特徴があるのです。
そこで本記事では、
「厳密には信託財産は誰のものにになるのか」
「所有権と受益権はどう違う?」
というテーマについて、わかりやすく解説していきます。
こちらの記事では、家族信託の仕組みやメリット、流れについてわかりやすくまとめていますので、ご参照ください。
家族信託とは?仕組みやメリット・デメリットを専門家がわかりやすく解説
家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ仕組みです。本記事では家族信託の詳細や具体的なメリット・デメリット、発生する費用などについて詳しく解説します。将来認知症を発症しても、親子ともに安心できる未来を実現しましょう。
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目次
家族信託した財産の所有権はどうなる?
結論、家族信託では、信託財産の「所有権」が委託者から受託者へ移転します。
一方でこの「所有権」と、財産から利益を受ける権利である「受益権」は別となります。
よって、受託者は信託された財産を自分のために使ったり、財産による利益(金銭、賃料収入など)を得ることは出来ません。
つまり、信託財産の「所有権」は子などの受託者にありますが、実質的な利益を受けるという観点では、受益者(=委託者・親)のものであるといえます。
事例でもう少し詳しくみてみましょう。
一般的な家族信託における権利移動の例
Aさん(78歳)は複数の投資用不動産と預貯金を所有しています。
これまでは、Aさんが自分で賃貸借契約の締結や管理会社とのやりとり、修繕の実施、銀行での預貯金の出し入れなどを行っていました。
しかし、Aさんが体調を崩したことをきっかけに、今後の財産管理に不安を覚えるようになりました。
そこで、長男Bさんと以下のような家族信託を行います。
- Aさん(委託者)保有の不動産・金銭をBさん(受託者)に信託
→信託財産の「所有権(管理権)」はBさんにある - Bさんが受託者として信託財産の管理・運用・処分を行う
- 信託した投資不動産から得られる賃料収入と金銭は、Aさんの生活や介護等のために使用する
→信託財産の「受益権」はAさんにある
このように、信託財産の「所有権(管理権)」と「受益権」は分離しています。
また、受託者には、この特殊な性質の信託財産について、自分自身の固有財産とは明確に分けて管理しなければならないという義務も定められています(分別管理義務・信託法第34条)。
もう少し詳しくみていきましょう。
委託者・受託者・受益者はそれぞれどんな役割をもつ?
家族信託では、委託者・受託者・受益者それぞれが以下のような役割や権利をもちます。
- 委託者:自身の財産の管理・運用・処分を受託者へ託す
- 受託者:(信託契約の範囲内で)信託財産を管理・運用・処分する
- 受益者:信託財産による利益を得る
この三者がもつ権利についてみていきましょう。
信託財産の管理・運用・処分権は委託者→受託者へ移転
上述のとおり、信託財産の「所有権」は委託者から受託者へ移転します。
※信託法第2条第3項において、信託財産は「受託者に属する財産」とも定められています。
一方で、受託者は所有権を持ちますが、信託財産を自由に扱えるわけではなく、信託契約の内容に沿って管理することとなります。
例えば以下のような行為は、信託契約の範囲内で受託者が行えます。
- 不動産の賃貸や売買(契約の締結)
- 家族信託専用の預金口座からの入出金
- 株式(有価証券)の運用や管理
信託財産は、家族信託専用の口座を開設する、(不動産の場合は)信託登記をするなど、受託者固有の財産とは分別して管理する必要があります(分別管理義務・信託法第34条)。
他にも、信託財産の収支記録や受益者への報告など、複数の義務が定められています。
以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
家族信託の受託者の役割・義務とは?誰がなるべき?選び方のポイント
今回は、家族信託で財産を預かる「受託者」について解説します。誰が受託者になれるのかという点は、家族信託のご相談の中で、よくいただくご質問です。その中でも、今回は、「未成年者・家族(子、孫などの直系親族)以外・複数名・委託者・受益者」これら5つの立場・状況にある方が、家族信託の受託者になりうるか、解説していきます。また受託者になった後にしなければならないことも解説します。
信託財産による利益は受益者が得る
上述の通り、信託財産による「利益(不動産の賃料収入や売却代金、信託された金銭等)」は「受益者」のものとなります。
よって、信託財産から得られる利益は受益者の生活費や医療・介護でかかる費用に充てられます。
一般的な家族信託では「委託者=受益者」
一般的な家族信託では「委託者=受益者(主に親)」という設計をします。
よって、家族信託する前には、親の固有財産であった信託財産について、家族信託後には親が「受益権」として実質的な財産権をもつ形になります。
つまり、信託の前後で信託財産についての実質的な財産権に変わりはありません。
「家族信託について親御様に切り出しにくい…」
「親御様が財産を託すことに抵抗をもたれている」
このようなご相談も多くいただきますが、実質的には親御様の財産のままであることをお話しすると、納得してもらいやすいケースもあります。
家族信託を親に切り出すコツはある?資産を教えてくれないときはどうすればいい?
家族信託のご相談の中で、よくいただくご相談に「親が家族信託に乗り気でない」という話があります。そのような場合、どのように話を進めると良いのでしょうか。第三者がどのように話を導入して説得につなげるのか、専門家による成功事例としてお伝えします。
「委託者=受益者」とならない場合はある?
厳密には「委託者=受益者」とならない場合もあります。
例えば、委託者の子などの個人だけでなく、兄弟などの複数人を受益者にしたり、法人としたりする場合があります。
受益者の例
- 委託者本人
- 複数の親族
- 将来生まれる予定の親族(子や孫)
- 法人
委託者と受益者が異なる信託は「他益信託」といわれます。
他益信託(委託者≠受益者)の場合、贈与税の課税に注意
委託者本人が受益者である場合は贈与税は発生しませんが、委託者本人以外が受益者となった場合、みなし贈与として贈与税が課税される可能性があります。
また、受益者が他の人物に無償で受益権を贈与した場合は、新しい受益者に贈与税が課税される可能性があります。
そのため家族内とはいえ、信託契約の設計に問題はないか、また不意の課税が起きないかどうかについて確認することが重要です。
最適な設計には法務や税務の観点で専門知識が必要となりますので、詳しくは以下よりお気軽にご相談ください。
>家族信託についてのご相談はこちらから以下の記事では、家族信託と贈与税の注意点を解説しています。
家族信託で財産の名義変更をすると贈与税はかかるのか
家族信託をして信託財産に不動産がある場合、贈与税はどうなるのでしょうか。同じ家族信託でも、課税されるケースと非課税となるケースがあります。今回は不動産を信託した場合に贈与税が課税されるのか?というテーマを中心に不動産名義の変更と贈与税について解説していきます。
受益者がもつ「受益権」とは何か?
信託契約における受益者は「利益を得る権利」だけではなく、その利益を得るために受託者の業務をチェックしたり、報告を求めたりする権利を持ちます。
受益者が持つ権利(大きく分けて2つ)
- 信託契約に基づいて、受託者に対して信託財産(に属する財産)の「引渡しや給付を求める」権利
- 1の権利を確保する目的で、信託法の規定に基づき、受託者等に対して「一定の行為を求める」権利
2の、受託者等に対して「一定の行為を求める」権利の具体例として、以下が挙げられます。
- 信託事務の処理の状況について受託者に報告を求める権利(信託法第36条)
- 受託者の違法・契約違反行為の差止を請求する権利(信託法第44条)
- 受託者を解任する権利(信託法第58条第1項)
- 新しい受託者を選任する権利(信託法第62条第1項)
受益者がこのような権利を持つ点も、家族信託の公正さを説明する要素としては重要なポイントとなります。
まとめ
本記事では、家族信託での信託財産の所有権や受益権について解説してきました。
受託者は、委託者(=受益者)から信託された信託財産の所有権を持ちますが、財産からの利益を得るのは受益者です。
このように、信託は特殊な性質を持ち、設計や契約の締結には専門的な知識が必要となりますので、ご検討の際は、経験豊富な専門家へ相談いただくことをおすすめします。
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